悪い円安論は 嘘? 悪い円安,良い円安とは?日銀,財務大臣の見解を簡単解説|消費者経済総研|2022/7/3

財務大臣は、「悪い円安」と言う。
日銀総裁は、「円安を良し」とする。

その違いが生まれる原因とは、何か?

悪い円安論とは、何か?
なぜ円安は、そんなにヤバイのか?

それとも、悪い円安論は、嘘か?

円安・円高のメリット・デメリットや、
日銀見解も、かりやすく簡単解説

インフレ対策も提言


-消費と経済をわかりやすく解説する-
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最新稿:2022年7月3日
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円安は、悪くなく、良い?
-- 消費者 経済 総研 --

◆日本経済の全体には、円安は良い?

円安が、影響を及ぼす経路は、多岐にわたる
 ↓
客観的データに基づいた、実証分析では、どうか?
 ↓
円安は、日本の経済全体に、メリットである

-- 消費者 経済 総研 --

◆悪いのは、円安ではなく、〇〇?

悪い原因は、円安ではなく、〇〇である
 ↓
今回は、「〇〇が原因」である理由を、解説する




今回号のアウトラインは?
Q:「悪い円安」とは別の 悪いことは、何か?

A:海外のインフレが、原因で、
  日本が輸入する物価が、上がったことだ
   
  これで、日本で値上げラッシュが、起きた 
 
-- 消費者 経済 総研 --

Q:さらに、「円安」で、インフレが加速なのか?

A:そうだ。
  輸入物価の高騰に加え、円安で追い打ちだ

  日本人の暮らしに、悪いダメージを与える
  こうして、「円安は悪い」と、最近言われている

-- 消費者 経済 総研 --

Q: 円安は、貿易には、プラスか?マイナスか?

A:貿易が黒字の国には、円安はプラスだ
  日本は、長期では貿易黒字で、円安が得だ

-- 消費者 経済 総研 --

Q:最近は、日本の貿易赤字を、聞くが、どうか?

A:概ね黒字だが、近年は、赤字の年もある
  長期傾向は、貿易黒字は、ゼロに近づいた

  また2021年8月からは、赤字傾向だ

-- 消費者 経済 総研 --

Q:日本の貿易黒字が、減った理由とは?

A:日本の企業の海外シフトが、進んだからだ

  日本の国内で生産し、海外へ輸出 から、
  海外の工場で生産し、地産地消へ、シフトした

-- 消費者 経済 総研 --

Q:21年8月~貿易赤字なので、円安は不利?

A:引き続き、円安が有利だ。
  貿易が赤字でも、経常収支が黒字だから

-- 消費者 経済 総研 --

Q:経常収支とは、何か?

A:貿易収支 + サービス収支 + 所得収支 の
 3つの合計が「経常収支」だ

 海外取引は、貿易収支 だけ見ても 不十分だ
 より広範な「経常収支」で、見る必要がある

-- 消費者 経済 総研 --

Q:海外取引は、「円安が有利」が、わかったが、
  国内も含めた日本全体の経済では、どうか?

A:全体指標のGDPでもGNIでも、円安は有利だ

-- 消費者 経済 総研 --

Q:GNIとは、何か?

A:GNI =GDP + 海外からの配当金等 だ
  GDPは「海外からの配当」を含まず、不十分だ

-- 消費者 経済 総研 --

Q:海外子会社からの「配当」が、重要なのか?

A:輸出が減り、海外での地産地消が増えたので、
  海外現地の子会社からの「配当」が重要だ

  海外取引では、配当を含む経常収支が重要で
  経済全体では、配当を含むGNIが重要だ

-- 消費者 経済 総研 --

Q:客観データでの実証分析で、円安はどうか?

A:Var計量モデルで、円安は、有意にメリットだ

-- 消費者 経済 総研 --

Q:結論は、円安は、悪いくない のか?

A:「円安は、悪くない」のだ。
  複数のエビデンスがある(後掲)

-- 消費者 経済 総研 --

Q:では、悪いのは、円安ではなく、何か?

A:悪い原因は、円安ではなく、〇〇である
  「〇〇が原因」である理由を、解説する

  本ページの次項以降を、ご覧頂きたい。




悪い円安 とは ?
-- 消費者 経済 総研 --

◆「悪い円安」とは別の 「悪いインフレ」とは?

円安とは別問題の「悪いインフレ」の問題がある
 ↓
下記の海外の出来事が原因の、海外のインフレだ
 ↓
天候不良、コロナで出勤・供給の制約、原油高、戦争
 ↓
1つ目が、天候不良で、食品の原材料が供給減少だ
 ↓
2つ目に、コロナ→出勤制限→生産減→供給制約だ
 ↓
3つ目に、原油価格の高騰だ
 ↓
4つ目に、ウクライナ戦争だ
 ↓
インフレになる悪い出来事が、重なってしまった
 ↓
こうして、海外での原材料の生産・供給が、減った
 ↓
品薄になったので、海外での価格は、上昇した
 ↓
日本が、海外から輸入する物の価格も、上昇した
 ↓
日本でも、食品などが「値上げラッシュ」になった

-- 消費者 経済 総研 --

◆さらに「円安」で、インフレに、拍車がかかる

こうして輸入物価が高騰したが、更に追い打ちだ
 ↓
上記に「円安によるインフレ」が加わる
 ↓
米国の1ドルの商品を、買うには、何円必要か?
 ↓
21年1月は103円で「米国の1ドル商品」を買えた。
 ↓ 
2022年4月は、「130円」を出さないと、
米国の1ドル商品を、買えない。
 ↓
円安で、輸入品の物価上昇が、加速している。
 ↓
日本人の暮らしに、悪いダメージを与える
 ↓
こうして、「円安は悪い」と、最近言われている


◆この項のポイントは?
日本が輸入する 製品や原材料は、

 天候・コロナ・原油・戦争が原因で物価上昇
 
 さらに「円安」で、物価上昇が加速




円安円高、輸出輸入|有利・不利は?

◆この項のポイントは?
円安は、貿易黒字の国には、メリットである

◆どのくらい、円安が進んだか?

2021年1月頭は、「 1ドル 103円 」 だった
 ↓
2022年4月には、「 1ドル 130円 」 になった
 ↓
こうして、円安が、急速に進んだ
 
-- 消費者 経済 総研 --

◆輸出企業が、儲かる?

米国が、1ドルで日本製品を、買う場合はどうか?
 ↓
以前は、103円分しか、買えなかった
 ↓
しかし最近は、130円分も、買える
 ↓
米国は、日本の製品を、約1.3倍買える
 ↓
日本の輸出企業は、売上が、約1.3倍になる
 
-- 消費者 経済 総研 --

◆円安・円高の メリット・デメリット とは?

▼輸出では?

上記の通り、「円安」は、輸出に有利である
 ↓
逆に、「円高」は、輸出に、不利になる


▼輸入では?

「円安」は、輸入に、不利である
 ↓
逆に、「円高」は、輸入に、有利になる


▼純輸出とは?

純輸出は、輸出-輸入で、「貿易収支」とも言う


▼簡単な計算例では?

例えば、「1ドル 100円」の場合を、考える
 ↓
輸出10兆円、輸入9兆円なら1兆円の黒字だ
 ↓
ドル円が、1ドル130円なら、輸出は、1.3倍になる
 ↓
輸出13兆円、輸入11.7兆円で1.3兆円の黒字だ
 ↓
ドル円  輸出    輸入   収支
100円 10兆円  9 兆 円  1 兆 円
 ↓
130円 13兆円 11.7兆円 1.3兆円
 ↓
1ドルが、100円→130円になる、円安では、どうか?
 ↓
純輸出(貿易収支)は、兆円→1.3兆円へ増える
 ↓
貿易収支が黒字なら、円安は、メリットになる


▼純輸出でのまとめ

純輸出が、プラス(輸出>輸入)は、貿易黒字である
 ↓
純輸出が、マイナス(輸出<輸入)は、貿易赤字だ
 ↓
貿易黒字なら、「円安」は、有利である
 ↓
逆に、貿易赤字なら「円安」は、不利になる
 ↓
「輸出」と「輸入」で、金額が大きい方に、
効き目がある為替が有利だ


◆この項のポイントは?
円安は、貿易黒字の国には、メリットである




日本の貿易黒字は、だいぶ減った?

◆この項のポイントは?
日本の貿易は、

 長期は、概ね 貿易字だが、減少傾向
 
 短期は、21年8月から、貿易字の傾向


◆長期トレンドでは?

長期トレンドでは、日本の「純輸出」は、どうか?
 ↓
「純輸出=輸出-輸入」はプラス、つまり貿易黒字
 ↓
だが、純輸出(貿易黒字)の額は、減少傾向にある
 ↓


-- 消費者 経済 総研 --

◆短期トレンドでは?

2021年8月から、貿易赤字の傾向になった
 ↓
原因は、海外の悪天候、コロナ制約、原油高、戦争だ
 ↓

※上図は、下記出典から、消費者 経済 総研が、作成
※出典:財務省|国際収支総括表


-- 消費者 経済 総研 --

◆長期・短期では?

長期は、概ね貿易黒字なので、円安はプラスだった
 ↓
しかし、メリットは、徐々に小さくなった
 ↓
短期(21年8月~)は、貿易赤字で、円安はマイナスだ


◆この項のポイントは?
日本の貿易は、

 長期は、概ね 貿易字だが、減少傾向
 
 短期は、21年8月から、貿易字の傾向




貿易黒字・減の理由は、海外シフト?
-- 消費者 経済 総研 --

◆日本からの輸出は、増えない?

日本企業の製品の、海外への販売の方法は?
 ↓
かつては、日本で生産し、海外に輸出していた
 ↓
徐々に工場を、日本国内から、海外へ移した
 ↓
海外現地での、生産・販売の割合が、高まったのだ

-- 消費者 経済 総研 --

◆海外シフトの理由は何か?

海外移転の理由は、時期で異なるが、下記がある
 ↓
 ・日米の貿易摩擦への対処

 ・海外の安い人件費の活用

 ・リーマン・ショックの後の円高への対処

 ・東日本大震災の後の、拠点の分散化

 ・地産地消(現地なら、注文~販売の期間が短縮)

こうして日本企業の工場は、海外シフトが、進んだ


◆この項のポイントは?
日本の企業は、海外シフト

 日本の国内で生産し、海外へ輸出 から
  ↓
 海外の現地の工場で生産し、地産地消 へ




海外移転→黒字減でも、円安 有利?
-- 消費者 経済 総研 --

◆海外移転→純輸出 減っても、円安はプラス?

海外シフトで、日本の純輸出(貿易黒字)はどうか?
 ↓
貿易黒字は、だいぶ減り、ゼロに近づいた
 ↓
既述の通り「円安は、貿易黒字の国に、有利」だ
 ↓
貿易黒字が減ったら、円安メリットは、減るか?
 ↓
いや、メリットは、減らない
 ↓
なぜか?
 ↓
A:輸出で、海外から、販売代金をもらう
 ↓
B:海外現地での利益を、配当金でもらう
 ↓
Aの割合が減り、Bの割合が増えた
 ↓
AからBへ、お金の貰い方が、シフトしただけだ
 
-- 消費者 経済 総研 --

◆海外の子会社からの お金の流れは?

各種経費を引いた、各段階での企業の利益は?
 ↓
粗利益→営業利益→経常利益→最終利益(純利益)

税引後の最終の純利益は、下記のどちらかになる
 ↓
・内部留保として、社内に残す
・配当金として、株主に還元する
 ↓
内部留保の定義は、ここでは深入りはしない。
簡単に、「企業の貯金」と、とらえてよい。
 ↓
日本企業の本社(親会社)が、日本にある
 ↓
海外では、現地に、子会社をつくる。
 ↓
親会社は、海外の子会社の株式を、持つ
 ↓
株主(親会社)は、海外(子会社)から、配当金を貰う
 ↓
上記が日本企業の本社(親会社)のお金の貰い方だ


◆この項のポイントは?
日本の企業の お金のもらい方が 変わった

 輸出で、販売代金を もらう形 から
  ↓
 海外子会社の利益を 配当で、もらう形 へ



貿易収支 ではなく 経常収支?

◆この項のポイントは?
海外との取引は、

 「貿易収支」 だけ見ても 不十分

 貿易収支 + サービス収支 + 所得収支 の
 3つの合計の「経常収支」で見るべき

 経常収支なら 「海外からの配当」 を含む


◆「貿易収支」だけ見ては、だめ?

日本の海外取引は、輸出と輸入が、話題になる
 ↓
輸出>輸入で貿易黒字で、輸出<輸入で貿易赤字
 ↓
ニュースでも、貿易の黒字・赤字を、よく聞く
 ↓
しかし、貿易だけみても、不十分だ
 ↓
海外取引は、「全部で、3種類ある」からだ
 


-- 消費者 経済 総研 --

◆モノの貿易のほか、「サービス収支」もある?

日本と海外の取引は、貿易(モノの輸出入)だけか?
 ↓
「モノの貿易」のほか、「サービスの貿易」もある
 ↓
「サービス」とは、具体的には、何が対象か?
 ↓
国際輸送の運賃、旅行費(宿泊・飲食代等)、
手数料、使用料(特許・著作権等)等の項目がある
 ↓
「サービス収支」とは、何か?
 ↓
上記項目の、輸出(受取収入)-輸入(支払支出)だ
 
-- 消費者 経済 総研 --

◆さらに、「所得収支」もある?

さらに、「所得収支」もあるのだ
 ↓
「所得収支」とは、具体的には、何が対象か?
 ↓
直接投資収益(親会社・子会社の間の配当金等)、
証券投資収益(株の配当金、債券利子) などだ
 ↓
現地生産の 海外子会社からの 配当も含む
 ↓
海外シフト(輸出収入→配当収入へ)も、反映される

「所得収支」とは、何か?
 ↓
上記項目の、受取収入-支払支出だ

-- 消費者 経済 総研 --

◆経常収支とは?

経常収支とは、何か?
 ↓
モノの貿易収支 + サービス収支 + 所得収支
 ↓
この3つの国際取引の収支を、合計した値だ
 ↓

 
-- 消費者 経済 総研 --

◆合計した「経常収支」は、黒字か?

▼長期トレンドでは、どうか?

貿易収支は、
減少傾向で、ゼロに近づいた。赤字の年もある
 ↓
 ↓
一方、経常収支は、長年の間、黒字継続だ
 ↓


▼短期では、どうか?(2021年以降)

貿易収支は、2021年8月から、赤字の傾向だ
 ↓
 ↓
貿易収支よりも広範な経常収支は、ほぼ、黒字

 ※経常収支から、再投資分を除外しても、黒字である

海外取引の指標では、貿易収支では、不十分だ
 ↓
全体を見るなら「経常収支」で、見る必要がある
 ↓
「経常収支」は、黒字が、長年継続している。
 ↓
よって円安は、経常収支では、より有利だ


◆この項のポイントは?
海外との取引は、

 「貿易収支」 だけ見ても 不十分

 貿易収支 + サービス収支 + 所得収支 の
 3つの合計の「経常収支」で見るべき

 経常収支なら 「海外からの配当」 を含む




日本の経済の全体では?
-- 消費者 経済 総研 --

◆経済全体の指標は、GDP?
 ↓
日本経済の全体の規模や、伸びは、何で見るか?
 ↓
それは、GDPである。
 ↓
GDP(国内総生産)の内訳は、次の通りだ(%は概数)
 ↓
 ① 60%が、個人消費
     +
 ② 25%が、公共投資等
     +
 ③ 15%が、企業の設備投資
     +
 ④ 純輸出は、1%未満

GDPには、「純輸出」が、含まれる
 ↓
純輸出が、増えれば、GDPは増える
 ↓
純輸出とは、既述の通り、「輸出-輸入」だ
 
-- 消費者 経済 総研 --

◆GDPではなく、GNIで見るべき?

GNI(国民総所得)とは、何か?
 ↓
GNI = GDP + 海外からの配当金等 だ
 ↓
「GNI」は、昔の「GNP」と、ほぼ同じ指標だ
 ↓
GDPは、
国内で生産されたモノ・サービスの付加価値合計
 ↓
GNIは、
居住者が、国内+国外から、得た所得の合計
 ↓
では、なぜ、「GNI」に、注目すべきなのか?
 
-- 消費者 経済 総研 --

◆GDPの欠陥とは?

GDPには、「純輸出」の項目があった
 ↓
しかしGDPに「海外からの配当収入」の項目が無い
 ↓
そこで、「GNI」で見るのだ
 ↓
GNIなら、海外子会社からの 配当収入を含む


◆この項のポイントは?
経済全体の指標は、

 「GDP」 だけ見ても 不十分

 海外子会社からの 配当収入を含む
 「GNI」も 見るべき




日銀の計量モデルで、円安は良い?
-- 消費者 経済 総研 --

◆計量モデルでの評価の結果、円安は良い?
 ↓
Varモデルによる、マクロ変数の変化測定がある
 ↓
実質実効為替レートが、10%円安での変化測定だ
 ↓
円安は、実質GDPに対し、統計的に有意にプラスだ
 ↓

 
-- 消費者 経済 総研 --

◆「GDP」ではなく 「GNI」では、どうか?

実質 GDP ではなく、実質 GNI ではどうか?
 ↓
円安のプラス効果は、より大きいと、確認できる
 ↓

 ↓
この Varモデル分析を、日銀が実施した
 ↓
その結果、「円安はメリット」であると判明した
 ↓
日本経済全体の力を示すGDP、GNI両方ともだ
 ↓
これが、日銀が、「円安は良い」とする根拠だ

 ※出典:日銀|経済・物価情勢の展望


◆この項のポイントは?
「円安」は、日本経済の全体には、プラス

 「GDP」 でも 円安は プラス

 海外子会社からの 配当収入を含む
 「GNI」では 円安は さらにプラス




計量モデルは、他にもあるか?
-- 消費者 経済 総研 --

◆「円安は、良いor悪い」の他の計量モデルは?

内閣府の試算でも、「円安は良い」と出た
 ↓
内閣府の「日本経済 マクロ計量 モデル」の14Pだ
 ↓
下記のページから、ご覧頂きたい
 ↓
Q6:[日銀が利上げしない理由] いつ利上げ?




財務大臣は、悪い円安?
-- 消費者 経済 総研 --

◆日銀が円安で良い。しかし財務大臣は違う?

財務大臣が「悪い円安」に言及した
 ↓
ここからは、円安で困る人に、注目していく
 ↓
海外へ輸出をする企業には、円安はメリットだ
 ↓
海外現地で生産する企業も、円安はメリットだ
 ↓
しかし、恩恵を受ける人間が、少ない
 ↓
企業にメリットがあっても、企業に感情はない
 ↓
うれしい・うれしくないを、感じるのは、人間だ
 ↓
具体的には、取締役と従業員だ
 ↓
人数では、従業員が、圧倒的に多い。
 ↓
円安で増えた売上・利益は、どこへ行く?
 ↓
賃金のベースアップは、たったの0.1~0.2%
 ↓
 ※ベア:0.1%は2021年(経団連発表)
      2022年は0.2%程度と消費者経済総研が推計
 ↓
つまり、従業員への分配に、あまり回ってこない
 ↓
内部留保をする傾向が強い
 ↓
一般国民には、年金不足なので、将来不安がある
 ↓ 
そこで、日本の生活者は、貯金に、いそしむ
 ↓
企業も、リスクを恐れ、貯金をする
 ↓
それで、企業の内部留保の増大を生む
 
-- 消費者 経済 総研 --

◆円安のデメリットは?

円安は、輸出にプラスで、輸入にマイナスだ
 ↓
1ドル100円なら、どうか?
 ↓
100円出せば、米国の製品1ドル分が、買えた
 ↓
1ドル130円では、どうか?
 ↓
130円出さないと、米国の製品1ドル分買えない
 ↓
輸入物価の約1割が、消費者物価へ影響する
 ↓
103円→130円の円安では、どうか?
 ↓
130円 ÷ 103円 = 1.26倍だ
 ↓
輸入物価の26%上昇を、意味する
 ↓
その約1割分、消費者物価を上げる
 ↓
よって、2.6%程度の消費者物価の上昇に繋がる
 ↓
賃金のベースアップは、たったの0.1~0.2%
 ↓
日本の多くの一般国民は、物価UP>賃金UPだ
 ↓
一般国民には、「円安は悪い」となる

ベア:0.1%は2021年(経団連発表)
    2022年は0.2%程度と消費者経済総研が推計


◆この項のポイントは?
「円安」は、

 日本の経済全体に、プラス
 輸出企業や海外配当を貰う企業に、プラス

 賃上げ不足国民には物価UP悪い円安




それでも、「円安で、良い」?
-- 消費者 経済 総研 --

◆それでも、「円安は悪くない」?

既述の通り、一般国民には、「円安は悪い」
 ↓
しかしそれでも「円安は、悪くない」理由とは?
 ↓
悪いのは、円安では、無いのだ
 ↓
悪いのは、円安ではなく、企業方針や政策だ
 ↓
既述の通り、日本は、経常収支が黒字だ
 ↓
黒字であれば、日本の経済全体には、プラスだ
 ↓
日本の輸出企業の売上・利益も、増える
 ↓
また海外子会社から配当増で日本企業の利益増だ
 ↓
その増えた利益を、賃金UPに、回さないのが問題だ
 ↓ 
不十分な賃上げの企業方針が、問題だ
 ↓
しかし民間企業は、大幅な賃上げの義務は、無い
 ↓
そこで、政策が重要になる
 ↓
充分な賃上げになる施策を、しない政策が問題だ
 ↓
問題なのは、円安ではなく、経営方針と政策方針だ


◆この項のポイントは?
悪いのは、「円安」ではない

十分な賃上げをしない企業方針が、問題だ

充分な賃上げにならない政策方針が、問題だ




解決策は?
-- 消費者 経済 総研 --

◆解決策は、賃金UP?

解決策は、賃金UPだ
 ↓
そのためには、どうすべきか?
 ↓
賃金UP税制の強化だ (現制度は、効果不充分)
 
-- 消費者 経済 総研 --

◆日銀は、利上げしなくてよい?

最近は、日銀への批判が、増えた
 ↓
物価対策として「金融緩和策を見直せ」と言われる
 ↓
金融緩和策の見直し(利上げ等)は、不要だ
 ↓
利上げしたら、経済が低迷するに、決まっている
 ↓
日銀の金融政策が問題なのではない
 ↓
円安で企業が儲かるのだから、賃金UPが解決策だ
 ↓
それを促す「大胆な賃金税制」の新政策が重要だ

-- 消費者 経済 総研 --

◆インバンド 受け入れ拡大 急げ

円安なら、海外からの旅行者には、メリット大だ
 ↓
26%も、日本が、安くなったのだ
 ↓
日本の宿泊業、飲食業などには、絶好のチャンス
 ↓
日本の鎖国解除は、段階的・部分的でしかない
 ↓ 
早期に、大幅なインバウンド受入れを、すべきだ

-- 消費者 経済 総研 --

ここからは、解決策オプション編~

◆慎重で心配性の 日本人を、安心させる?

経営者は、リスクに備え、内部留保をため込む
 ↓
日本人は、外人よりも、心配性なのだ


▼日本人の 「セロトニンtrns ptr遺伝子SS型」

外国人と遺伝子比較して、日本人は、どうか?
 ↓
日本人はセロトニントランスポーター遺伝子SS型が多い
 ↓
SS型はリスクに過敏反応し、損害回避傾向がある
 ↓
コロナでも、日本人は、慎重・心配度合いが、高い
 ↓
ビジネスでのリスク回避傾向にも、つながる

 ※参考文献:神奈川大学|SS 型はネガティブ遺伝子と呼べるのか?
 |杉山崇氏


▼日本人の 「新奇性 追求遺伝子 D4DR遺伝子」

D4DR遺伝子は、「新奇性」を、追求する遺伝子だ
 ↓
外国人より、日本人は、D4DR遺伝子が、少ない
 ↓
外国人の方が「チャレンジ精神 大」を意味する
 ↓
バンジージャンプを喜ぶ人は、外人の方が多い
 ↓
ビジネスのチャレンジ姿勢にも影響するだろう
 
 ※参考文献:慶応大学|パーソナリティと神経伝達物質の関係に関する研究
  |木島伸彦氏

-- 消費者 経済 総研 --

◆リスクの軽減と、再チャレンジ

リスク回避傾向の日本人に、リスクを軽減すべき
 ↓
連帯保証人制度は、改善すべきもののひとつだ
 ↓
ビジネスに失敗したら、会社が倒産する
 ↓
会社の連帯保証人に、社長個人がなることは多い
 ↓
マイカーも自宅も、取り上げられてしまう※
   ※一定額以下は、対象外になる場合あり
 ↓
個人の破産に関する制度も、改善すべきだ
 ↓
ただでさえ慎重な日本人が、チャレンジできない
 ↓
米国の前の大統領のドナルド・トランプさんは?
 ↓
4回以上も、破産を経験しているとされる
 ↓
米国では、失敗は、NGではない。
 ↓
失敗で、課題解決ノウハウが増えたと、考える
 ↓
失敗によって、次回は成功との期待がでるのだ
 ↓
「失敗は、成功のマザー」

日本は失敗しても、再挑戦できる環境の整備を

-- 消費者 経済 総研 --


◆この項のポイントは?
解決策は、

 日銀の 金融政策の変更 ではない

 充分な賃上げになる 税制等の政策 の導入

 インバウンド 受け入れの 大幅拡大

 経営破たん時の ダメージ軽減




長期の視点では、「円安」は悪い?
デフレ脱却 できない日本
 ↓
失われた20年から 抜け出せない日本
 ↓
上記の課題から、脱出するために、「円安」が有効だ
 ↓
では、日本が課題を、解消した後では、どうか?
 ↓
金融緩和の政策を、見直すこともある
 ↓
それにより「円安トレンドが終了」することもある
 ↓
では「円高」の方向に、触れるのか?
 ↓
元気になった後の日本なら、円高でもよい

-- 消費者 経済 総研 --

◆戦後の日本は、輸出好調で、円高だった?

そもそも、日本製品の需要が強いと、どうなる?
 ↓
ドルから円に変えて、日本製品を買うので、円高へ
 ↓
実際に、戦後の日本の長期トレンドは、円高だった
 ↓
それだけ、戦後の日本製品に、需要があったのだ
 ↓
輸出での円高の損より、製品力の方が、上だった
 ↓
日本の輸出成長力 円高のデメリット だった

-- 消費者 経済 総研 --

◆円安は、日本の輸出企業を、甘やかす?

円安のおかげで、日本の輸出には、追い風だ
 ↓
しかし、「日本の製品が魅力UP」したのではない
 ↓
円安が続くと、日本の企業が、努力しなくなる
 ↓
円安の追い風に、日本企業が、甘えてしまう
 ↓
しかし現在の日本経済は、病気がちで、貧弱体質だ
 ↓
当面(短期中期)は、「円安という栄養剤」が必要だ
 ↓
日本が再び、成長軌道に乗ったら、どうか?
 ↓
その時は、円安という栄養剤は、不要である

-- 消費者 経済 総研 --

◆短期・中期の視点では?

日本経済には、まだ栄養剤が、必要だ
 ↓
短期・中期は、円安は、悪くなく、良いのだ
 ↓
日本経済が、低迷から脱却するまでは、円安は良い


-- 消費者 経済 総研 --


◆この項のポイントは?
円安は、

 企業努力を減らす

 しかしまだ貧弱な日本経済には必要





今回号のまとめは?
Q:「悪い円安」とは別の 悪いことは、何か?

A:海外のインフレが、原因で、
  日本が輸入する物価が、上がったことだ
   
  これで、日本で値上げラッシュが、起きた 
 
-- 消費者 経済 総研 --

Q:さらに、「円安」で、インフレが加速なのか?

A:そうだ。
  輸入物価の高騰に加え、円安で追い打ちだ

  日本人の暮らしに、悪いダメージを与える
  こうして、「円安は悪い」と、最近言われている

-- 消費者 経済 総研 --

Q: 円安は、貿易には、プラスか?マイナスか?

A:貿易が黒字の国には、円安はプラスだ
  日本は、長期では貿易黒字で、円安が得だ

-- 消費者 経済 総研 --

Q:最近は、日本の貿易赤字を、聞くが、どうか?

A:概ね黒字だが、近年は、赤字の年もある
  長期傾向は、貿易黒字は、ゼロに近づいた

  また2021年8月からは、赤字傾向だ

-- 消費者 経済 総研 --

Q:日本の貿易黒字が、減った理由とは?

A:日本の企業の海外シフトが、進んだからだ

  日本の国内で生産し、海外へ輸出 から、
  海外の工場で生産し、地産地消へ、シフトした

-- 消費者 経済 総研 --

Q:21年8月~貿易赤字なので、円安は不利?

A:引き続き、円安が有利だ。
  貿易が赤字でも、経常収支が黒字だから

-- 消費者 経済 総研 --

Q:経常収支とは、何か?

A:貿易収支 + サービス収支 + 所得収支 の
 3つの合計が「経常収支」だ

 海外取引は、貿易収支 だけ見ても 不十分だ
 より広範な「経常収支」で、見る必要がある

-- 消費者 経済 総研 --

Q:海外取引は、「円安が有利」が、わかったが、
  国内も含めた日本全体の経済では、どうか?

A:全体指標のGDPでもGNIでも、円安は有利だ

-- 消費者 経済 総研 --

Q:GNIとは、何か?

A:GNI =GDP + 海外からの配当金等 だ
  GDPは「海外からの配当」を含まず、不十分だ

-- 消費者 経済 総研 --

Q:海外子会社からの「配当」が、重要なのか?

A:輸出が減り、海外での地産地消が増えたので、
  海外現地の子会社からの「配当」が、重要だ

  海外取引では、配当を含む経常収支が重要で
  経済全体では、配当を含むGNIが重要だ

-- 消費者 経済 総研 --

Q:客観データでの実証分析で、円安はどうか?

A:Var計量モデルで、円安は、有意にメリットだ

-- 消費者 経済 総研 --

Q:結論は、円安は、悪いくない のか?

A:「円安は、悪くない」のだ

-- 消費者 経済 総研 --

Q:では、悪いのは、円安ではなく、何か?

A:悪いのは、「円安」ではない
 十分な賃上げをしない企業方針が、問題だ

 充分な賃上げにならない政策方針が、問題だ

-- 消費者 経済 総研 --

Q:解決策は、何か?

A:日銀の 金融政策の変更 ではない
  充分な賃上げになる 税制等の政策 の導入

  インバウンド 受け入れの 大幅拡大
  経営破たん時の ダメージ軽減


「悪い円安」は、嘘?
◆【 悪い円安は 嘘 】の理由 とは?
 悪い円安論は嘘?悪い円安,良い円安とは?
2つの 悪いインフレ
◆1つ目 【 悪いインフレ とは?
 日本の物価上昇・値上げラッシュの原因理由



◆2つ目 【 最近の 悪い円安 とは?
 円安円高のメリットデメリット,背景要因理由
3つ目の インフレ|ウクライナ危機由来インフレ
◆【Vol.1 直接の影響】ウクライナ情勢の
 日本への影響をわかりやすく解説 物価上昇は



◆【Vol.2 間接の影響】ウクライナ情勢の
 日本への影響を簡単解説 物価上昇は加速
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消費税の減税で、値上げ・インフレ対策を
消費税|減税の効果・メリット,増税の影響・デメリット
値上げラッシュ|食べ物等の品目別
◆【21年上期】4月からの値上げ・値下げとは?|
 2021・新年度の日本どうなる?



◆【21年下期】なぜ値上げラッシュ?
 値上げ食品一覧・原因理由



◆【22年上期】2022年4月から値上げ一覧
 原因理由も,値上げラッシュで悪いインフレ?
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引用
真っ暗なトンネルの中から出ようとするとき、
出口が見えないと大変不安です。

しかし「出口は1km先」などの情報があれば、
真っ暗なトンネルの中でも、希望の気持ちを持てます。

また、コロナ禍では、マイナスの情報が飛び交い、
過度に悲観してしまう人もいます。

不安で苦しんでいる人に、出口(アフターコロナ)という
プラス情報も発信することで、
人々の笑顔に貢献したく思います。

つきましては、皆さまに、本ページの引用や、
URLの紹介などで、広めて頂くことを、歓迎いたします。
引用・転載の注意・条件をご覧下さい。
【著作者 プロフィール】
■松田 優幸 経歴
 (消費者経済|チーフ・コンサルタント)

◆1986年 私立 武蔵高校 卒業

◆1991年 慶応大学 経済学部 卒業

*経済学部4年間で、下記を専攻
・マクロ経済学(GDP、失業率、物価、投資、貿易等)
・ミクロ経済学(家計、消費者、企業、生産者、市場)
・労働経済
  
*経済学科 高山研究室の2年間 にて、
・貿易経済学・環境経済学を研究

◆慶応大学を卒業後、東急不動産(株)、
 東急(株)、(株)リテール エステートで勤務

*1991年、東急不動産に新卒入社し、
途中、親会社の東急(株)に、逆出向※

​※親会社とは、広義・慣用句での親会社 

*2005年、消費・商業・経済のコンサルティング
 会社のリテールエステートに移籍

*東急グループでは、
消費経済の最前線である店舗・商業施設等を担当。

各種施設の企画開発・運営、店舗指導、接客等で、
消費の現場の最前線に立つ

*リテールエステートでは、
全国の消費経済の現場を調査・分析。
その数は、受託調査+自主調査で多岐にわたる。

商業コンサルとして、店舗企業・約5000社を、
リサーチ・分析したデータベースも構築

◆26年間の間「個人投資家」としても、活動中

株式の投資家として、
マクロ経済(金利、GDP、物価、貿易、為替)の分析や
ミクロ経済(企業動向、決算、市場)の分析にも、
注力している。

◆近年は、
消費・経済・商業・店舗・ヒットトレンド等で、
番組出演、執筆・寄稿、セミナー・講演で活動

◆現 在は、
消費者経済総研 チーフ・コンサルタント
兼、(株)リテール エステート リテール事業部長

◆資格は、
 ファイナンシャル・プランナーほか


■当総研について

◆研究所概要
*名 称 : 消費者経済総研
*所在地 : 東京都新宿区新宿6-29-20
*代表者 : 松田優子
*U R L : https://retail-e.com/souken.html
*事業内容: 消費・商業・経済の、
 調査・分析・予測のシンクタンク

◆会社概要
「消費者経済総研」は、
株式会社リテールエステート内の研究部署です。

従来の「(株)リテールエステート リテール事業部
消費者経済研究室」を分離・改称し設立

*会社名:株式会社リテールエステート
*所在地:東京都新宿区新宿6-29-20
*代表者:松田優子
*設立 :2000 年(平成12年)
*事業内容:商業・消費・経済のコンサルティング

■松田優幸が登壇のセミナーの様子

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メール: toiawase★s-souken.jp
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電 話: 03-3462-7997 
(離席中が続く場合は、メール活用願います) 
         
チーフ・コンサルタント 松田優幸   
松田優幸の経歴のページは「概要・経歴」をご覧下さい。