実感なき景気回復とは?|わかりやすく3分解説|消費者経済総研|2022年2月18日

2012年から、経済トレンドは
マイナスから、プラスへ反転上昇。

GDPも成長継続した。

しかし、なぜ「実感なき景気回復」と
言われるのか?その理由とは?

給料(賃金)と物価(CPI)を中心に、
インフレ、デフレ、実質などの関係を解説。

「3分でわかる」シリーズ
「実感なき景気回復」 とは ?

-消費と経済をわかりやすく解説する-
  -「消費者 経済 総研」-


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最新更新日:2022年2月18日
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年収と物価の 変動
◆GDPは成長した

2011年を起点に、GDPは上昇を続けた。
景気回復と経済成長は、グラフの通り鮮明である。


しかし「景気回復と聞いても、その実感がないな」
と言われる。

なぜ、生活者・消費者は、実感を感じないのか?
わかりやすく、3分でわかる解説をする。


-- 消費者 経済 総研 --

◆年収と物価は?

2012年をボトムに「年収」も「物価」も上昇した。
その両者の上昇率を、下図で見てみる。



上図で、年収も物価も同じように「上昇」している。
年収の単位は「万円」で、物価の単位は「指数」だ。

比較をしやすくするため、
両方とも「指数」としたのが、下記↓グラフである。

比較開始の2012年の値を、両方とも「100」とした。
2016年まで、年収上昇は、物価上昇を下回る





年収は上昇したが、それを物価が上回ったことは
「実感なき景気回復」につながる。


-- 消費者 経済 総研 --

◆年収と物価の関係のイメージとは?

具体的なイメージ例の話をしてみる。

2012年に、ある人が、100万円の給料もらった。
102万円の軽自動車が欲しいと思っている。

しかし、2万円不足し、買えない。

その後、2016年には、103万円に給料が増えた。
「買える!」と思った。

しかし軽自動車が、約104万円に値上がりした。
再び1万円が不足し、買えない。

「物価上昇」を、上回る「収入上昇」があれば、
「景気回復の実感」を感じる。

そうでなければ、「実感なき景気回復」になる。


-- 消費者 経済 総研 --

◆続いて中級編へ

ここまでは、3分でわかる「初級編」である。
この後は、続いて「中級編」で解説する。

年収水準、CPI、インフレターゲット等を
平成元年以降で見ていく。




平成時代 の 年収水準
消費者の消費活動の源となる「年収」
平成元年以降は、どうなったか?


H1年(1989年)からH4年(1992年)まで
バブル景気により、大きく年収水準は上昇した。

その後、H5・1993年に一度下落するが、
同年452万円 → H9・1997年467万円へ微増した。

1997年4月に消費税率が3%→5%へ上げられた。
これで、9年間にわたり、下落に転じる。

「デフレ時代の始まり」である。

その後2007年、
米国の金融商品等の上昇を伴う好景気があった。

日本国内景気も恩恵を受け、年収も反転上昇した。
しかしリーマンショックの影響で、再度下落した。

その下落幅は、平成時代で、最大となった。

その後、H24・2012年からは、反転上昇となった。

長く続いたデフレのダウントレンドは終了した。
そして年収水準は上昇を続ける。




平成時代 の 物価変動
消費者の消費活動に影響を及ぼす「物価」は、
平成元年以降どうなったか?



◆89年(H1)~98年(H10)は、物価上昇

なおグラフの値の「消費者物価指数」(CPI)は、
消費者が実際に払う金額が、ベースである。

つまり「消費税込み」の金額である。
消費税の「増税」があれば、CPIはその分、上昇する。

97年(H9) 4月に、消費増税が実施された。
物価は、翌98年(H10)をピークに達した。


-- 消費者 経済 総研 --

◆デフレ時代の始まり

98年のピークの後は、物価は下落に転じる。
デフレ時代が、始まったのだ。


◆リーマン・ショックでは?

06年(H18)から3年間は、物価上昇したが
リーマン・ショックで、09年から再び物価下落だ。


-- 消費者 経済 総研 --

◆2012年の後は?

物価水準は、13年から反転上昇を続けた。
つまりデフレ基調は終了した。

では「デフレ脱却」をしたのか?

「インフレターゲットは2%」との目標を
政府も日銀も掲げてる。

CPIが2%で「デフレ脱却」としている。
しかし、その目標には達していない。

13-17年CPIの実績は、下記の通りだ。

2013:1.7%、2014:2.4%、2015:0.1%
2016:0.3%、2017:1.1%

2014年は、消費増税があったので、
その分「カサ上げ」されている。

その14年を除くと、どの年も2%に至ってない。


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◆CPIの種類 とは?

CPIには「総合」「コア」「コアコア」の3種類ある。

政府は、インフレターゲット※に採用する指標は
「コアコアCPI」※としている。

デフレからの脱却のために、物価安定目標を
「2%」とするインフレターゲットを設定している。


※「インフレターゲット」とは、
インフレ率(物価上昇率)に関して、
政府や中央銀行が目標数値を設定する金融政策、
または、その目標インフレ率のこと


※「コアCPI」とは、
生鮮食料品を除く物価指数。

生鮮食品は、天候不順等で価格変動が激しい時が
あるため、この指数を使用することがある。

※「コアコアCPI」とは、
食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く物価指数。

上記のコアCPIと同様の趣旨で、
ガソリンなどのエネルギー価格を除いている。

※上のグラフは?
上記グラフの値は、「総合CPI」である。
消費者は、食品もガソリン等にも支出してるので
「総合」が、生活の肌感覚に、近いからだ。

マイナスがマイナスを呼ぶ「デフレ・スパイラル」
そこから脱するためのインフレ政策だ。

しかし目標に対して未達であるのと同時に、
賃金は上昇に転じたものの、力強さに欠く。

「賃金上昇」を「物価上昇」が、打ち消している。
これが、俗にいう【 実感なき 景気回復 】である。

「実感なき景気回復」の理由は、
GDPが回復しても、賃金が上昇しても、
「賃金上昇を上回る物価上昇」だからだ。


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◆ところで消費増税の影響は?

上記2つのグラフ(年収水準、物価水準)は共に、
1997年の消費増税(3%→5%)をきっかけに
ダウントレンドに入った。

消費増税が経済へ与えた影響は大きい。
「失われた20年のきっかけ」となったのだ。




実感なき景気回復とは
2012年をボトムに、「年収」・「物価」が上昇した。
その両者の上昇率を詳しくみてみる。




2012年の値を、両方とも「100」とした。
2016年まで、年収上昇は、物価上昇を下回る。
(下記↓グラフ)


物価の上昇を上回る収入の上昇があれば、
「景気回復の実感」を感じる。

そうでなければ「実感なき景気回復」である。

物価が上昇し、それを上回る上昇率で
収入が伸びていくのが理想だ。

下記↓グラフのような上昇が理想の例だ。
これなら「実感ある景気回復」である。





続編は?|関連ページは?
本稿では「実感なき景気回復」がテーマだった。

GDPや年収が上昇しても
生活の豊かさが実感できなかった。

しかし2017年以降は、どうなったのだろうか?
2017年以降の経済トレンドを続編で解説する。

「実感なき景気回復」「実感ある景気回復」へ

それを実現したアベノミクスとは?
また、いつ「実感なし→ある」に変わったのか?

下記続編ページを、クリックし、ご覧頂きたい。

アベノミクス成果,評価とは? 3​本の矢の効果も




 
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引用
真っ暗なトンネルの中から出ようとするとき、
出口が見えないと大変不安です。

しかし「出口は1km先」などの情報があれば、
真っ暗なトンネルの中でも、希望の気持ちを持てます。

また、コロナ禍では、マイナスの情報が飛び交い、
過度に悲観してしまう人もいます。

不安で苦しんでいる人に、出口(アフターコロナ)という
プラス情報も発信することで、
人々の笑顔に貢献したく思います。

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【著作者 プロフィール】
■松田 優幸 経歴
 (消費者経済|チーフ・コンサルタント)

◆1986年 私立 武蔵高校 卒業

◆1991年 慶応大学 経済学部 卒業

*経済学部4年間で、下記を専攻
・マクロ経済学(GDP、失業率、物価、投資、貿易等)
・ミクロ経済学(家計、消費者、企業、生産者、市場)
・労働経済
  
*経済学科 高山研究室の2年間 にて、
・貿易経済学・環境経済学を研究

◆慶応大学を卒業後、東急不動産(株)、
 東急(株)、(株)リテール エステートで勤務

*1991年、東急不動産に新卒入社し、
途中、親会社の東急(株)に、逆出向※

​※親会社とは、広義・慣用句での親会社 

*2005年、消費・商業・経済のコンサルティング
 会社のリテールエステートに移籍

*東急グループでは、
消費経済の最前線である店舗・商業施設等を担当。

各種施設の企画開発・運営、店舗指導、接客等で、
消費の現場の最前線に立つ

*リテールエステートでは、
全国の消費経済の現場を調査・分析。
その数は、受託調査+自主調査で多岐にわたる。

商業コンサルとして、店舗企業・約5000社を、
リサーチ・分析したデータベースも構築

◆25年間の間「個人投資家」としても、活動中

株式の投資家として、
マクロ経済(金利、GDP、物価、貿易、為替)の分析や
ミクロ経済(企業動向、決算、市場)の分析にも、
注力している。

◆近年は、
消費・経済・商業・店舗・ヒットトレンド等で、
番組出演、執筆・寄稿、セミナー・講演で活動

◆現 在は、
消費者経済総研 チーフ・コンサルタント
兼、(株)リテール エステート リテール事業部長

◆資格は、
 ファイナンシャル・プランナーほか


■当総研について

◆研究所概要
*名 称 : 消費者経済総研
*所在地 : 東京都新宿区新宿6-29-20
*代表者 : 松田優子
*U R L : https://retail-e.com/souken.html
*事業内容: 消費・商業・経済の、
 調査・分析・予測のシンクタンク

◆会社概要
「消費者経済総研」は、
株式会社リテールエステート内の研究部署です。

従来の「(株)リテールエステート リテール事業部
消費者経済研究室」を分離・改称し設立

*会社名:株式会社リテールエステート
*所在地:東京都新宿区新宿6-29-20
*代表者:松田優子
*設立 :2000 年(平成12年)
*事業内容:商業・消費・経済のコンサルティング

■松田優幸が登壇のセミナーの様子

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電 話: 03-3462-7997 
(離席中が続く場合は、メール活用願います) 
         
チーフ・コンサルタント 松田優幸   
松田優幸の経歴のページは「概要・経歴」をご覧下さい。